稼働していない太陽光発電の買い取り価格を大幅に減らす経済産業省の見直し方針をうけ、大手銀行がまとめた関連融資計3千億円が焦げ付いたり、融資の実行が停止されたりする可能性があることがわかった。経産省は救済措置を検討しており、近く公表する。
みずほ、三菱UFJ、三井住友のメガバンク3行は地方銀行や保険会社などと協調し、計約3千億円を各地で太陽光発電を始める事業者に貸してきた。
発電が始まれば、2012年度に導入された再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づき、長期にわたって高い価格で売電できる。このため、銀行側は不動産担保などをとらなくても、安心してお金を貸せた。
ところが、意図的に建設を遅らせる事業者を排除するため、経産省は制度の見直しを表明。建設が遅れている事業者に対し、買い取り価格の減額や買い取り期間の短縮が課される方向だ。
ただ事業者のなかには、地元自治体の条例対応や環境影響調査といった事情で建設が遅れている例も多く、「まじめに手続きを踏んでいる事業者ほど損をする」(銀行関係者)。
融資の条件だった価格が変われば、銀行は融資の回収や追加融資の中止をせざるを得なくなる。銀行融資が既に止まった事業者もある。中小事業者は返済に回せる原資に乏しく、銀行にも相当の損害が出る。「実際に多くのお金を出しているのは地銀や生保だ。前提が狂えば焦げ付きは避けられない」。九州のある地銀幹部は嘆く。
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