大量の雇い止めが明らかになったシャープ亀山工場(三重県亀山市)。大半が下請けの派遣会社に有期で雇われていた日系外国人だ。外国人労働者の受け入れ拡大を図る出入国管理法改正案の審議が進むなか、雇用の「調整弁」として都合良く扱われる不安定な身は、リーマン・ショックを機に派遣切りが吹き荒れた10年前と変わらない。「まるでモノ扱い」。労働者の訴えには怒りと悲しみが入り交じる。
日系ペルー人3世のスズキ・ファビオラさん(38)=三重県鈴鹿市=は、中3の息子を持つシングルマザーだ。ハローワークで仕事を探す日々だが、労災事故で負ったけがの具合が芳しくなく、「どうしたらいいのか」と途方に暮れる。
10年前と同じ
父や姉兄の後を追って2000年に20歳で来日。静岡県の工場などで働いてきた。08年のリーマン・ショックではほかの外国人労働者と同じように一斉に派遣切りに遭い、一時帰国を余儀なくされた。「あの時も部屋で一人、泣いた」
念願がかない、里帰り出産してから離ればなれだった一人息子を呼び寄せたのは15年。外国人労働者が多く暮らす三重に移り住んだ。シャープの3次下請けの派遣会社から「安定した仕事だから」と誘われ、昨年9月に亀山工場へ。米アップルの「iPhone」用部品を組み立てる仕事は誇らしく、長く続けられると思っていた。
ところが、当初は30万円を超…