ノーベル医学生理学賞の授賞式を10日(日本時間11日未明)に終えた京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(76)が11日、ストックホルムにあるスウェーデンの国会議事堂で講演した。同国の国会議員約140人を前に、「生物学は複雑で、まだ分かっていないことがたくさんある。多くの研究者がそれに臨まないといけない。それにはお金が必要だ」と訴えた。
テーマは、研究を促進するための政治家の役割について。本庶さんは自身の研究を紹介し、「がんの免疫療法の効果をさらに高めるためには、サイエンスへの多額の投資が必要だ」と語った。「生物学は(目的が明確な)ロケット開発とは違う。本当のターゲットがはっきりせず、『ギャンブル』だ」とも訴えた。
その後、本庶さんは報道陣の代表取材に応じた。「盛大な授賞式に感激し、(受賞の)実感がわいた」と振り返った。和装で臨んだことについて「多くの人は大変よいと言ってくれ、初めて見たという人もいたようだ」と話した。
ストックホルムでは連日、関連行事が続く。「とても疲れた。日本に帰り、ゴルフに行って温泉に行くというのが僕のプランです。時差ぼけを解消して健康に戻るために」と語った。(ストックホルム=合田禄)