そごう・西武は、百貨店の接客ノウハウを生かしたマナー教材の販売を始めた。バーチャルリアリティー(VR)を活用した映像コンテンツで、その場に入り込んだような臨場感の中で学べる。客の不快感も「体験」できる。
13日に公開したのは学習塾編。VR機器を装着すると、受講者は「塾の説明を聞きに訪れた母親」という立場を体感できる。
映像は塾の扉を開けるところから始まる。「すみませーん」と何度呼びかけても、事務員と講師はおしゃべりに興じて気づいてくれない。ようやく振り向いた事務員は座ったまま「何かご用ですか?」と返す。
さらに、事前に伝えていた子どもの情報が引き継がれていなかったり、講師は言葉遣いがぞんざいで服装に清潔感がなかったり。画面には「信頼度」の目盛りが示され、不快な対応があると徐々に下がっていく。最後は信頼度がゼロになり、母親が「結構です」と席を立つ設定だ。
塾や学校などから「保護者への対応力にばらつきがある」という声を受けてつくった。話し方や服装、書類の渡し方など、百貨店のマニュアルを応用したという。今後は一般の企業向けにもつくる。
担当者は「VRを活用することで、本人が気づいていないちょっとした行動が相手にどう見えているかを体験できる。座学やロールプレーよりも臨場感があり、効果が期待できる」と話す。(高橋末菜)