駿河湾特産のとれたてのサクラエビが、この冬は楽しめなくなった。静岡県桜えび漁業組合(望月武組合長)は13日、秋漁の全面中止を決めた。親エビが少ないためで、資源回復のための措置。漁の中止は少なくとも全船での資源管理体制を導入した1977年以降初めて。沈痛な面持ちで記者会見した組合幹部は「戦後初めてのことだと思う。資源回復の難しさを痛感する」と涙を浮かべた。
由比港漁業協同組合(静岡市清水区)の事務所であった記者会見。10日に採取したサクラエビについて県水産技術研究所(焼津市)の分析結果が報告された。体長35ミリ以下の稚エビが全体の6~7割を占め、漁獲基準を満たせなかった。
秋漁の水揚げは例年、春漁の2分の1から5分の1程度と少なく、ここ15年は200~500トンで推移してきた。組合は今年の春漁の水揚げが312トンと過去最低を記録したことから秋漁の開始を延期し、エビの成長を待ったが、結局、操業に至らなかった。
望月組合長は消費者や飲食店、加工業者に対し「楽しみにされていたのに提供できずすみません」と謝った。
一方で稚エビが多いことに「春漁に向けて期待も持てる」と話した。サクラエビの産卵は6月ごろに始まる。県水産資源課の担当者は「中止の意図をくめば、来年の春漁も継続して対策をとる必要があるだろう」と言う。実石正則副組合長は「ここまで我慢した。春も規制して資源を回復していきたい」と語った。
県は、水産技術研究所の科学的…