時紀行
大阪府の東大阪市花園ラグビー場は今秋、大規模な改修を終えた。日本初のラグビー専用グラウンドとして歴史を刻んできた「花園」は来年、ワールドカップの会場となる。年間を通じて緑を保つフィールドの芝生は、どのようにして守られているのだろうか。
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(時紀行:時の余話)花園改修、こだわった床 選手を思い
フィールドの天然芝がライトに照らされ、鮮やかさを増した。
10月26日、大阪府の東大阪市花園ラグビー場であった日本代表と世界選抜の一戦で、スタジアムは新たな歴史を刻み始めた。1929年に開場した日本初のラグビー専用競技場にとって、初めてのナイター。雨降る中、桜のジャージーと世界トップレベルの選手たちが激しく体をぶつけ合わせた。
「花園」はこの秋、大規模な改修工事を終えた。照明設備や大型ビジョンが新設され、観客席も増えた。2019年秋に日本で初開催のラグビーワールドカップの会場となるためだ。
装い新たなスタンドに囲まれたフィールドは、師走に入り生駒山からの風が冷たさを帯びても緑を保ったままだ。夏芝が冬に休眠する前に冬芝の種をまく「オーバーシード」方式によって、年間を通じて青々とした状態を保つ。今年は8月20日に冬芝の種がまかれた。「毎年12月27日に芝生の状態がピークを迎えるようにしています」と、フィールドの管理を担う唐仁原幸一さん(46)は話す。
この55年、年末年始の花園は全国高校ラグビー大会で沸き立ってきた。今冬の第98回大会の開会式も、12月27日だ。熟練の技で仕上げられてきた芝生が、高校ラガーマンの集う日を待っている。
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