「もっと速く歩け、ばかやろう!」。12月16日の日曜日、昼下がりの山道に大きな声がこだました。「お前も速く歩け、ばかやろう!」と言い返す声。でも、周りを歩く人たちはなぜだか笑顔――。
年に一度、悪口を言うことが許される「悪態まつり」が、茨城県笠間市の愛宕山にある愛宕・飯綱の両神社で開かれた。祭りはかつて中止になったが、1996年ごろに復活。若者や県内外からの参拝者が増え、ここ数年、昔を上回る活気が出ている。
午後2時、白装束に黒い烏帽子(えぼし)姿の13人の天狗(てんぐ)役が、愛宕山のふもとから参道を上り始めた。200人を超える参拝者が、前になり後ろになり歩く。山頂までは約4キロあり、天狗役は無言で、18カ所のほこらに供物をして回った。
「ばかやろう!」がこだまする「悪態まつり」。記事後半では、動画もお届けします。
参拝者は道中、悪態をつき、罵…