自民党離島振興特別委員長の谷川弥一衆院議員(長崎3区)が昨年10月の衆院選で、離島航路を運航していた五島産業汽船(長崎県新上五島町)=破産手続き中=から船をチャーターしながら1年以上、代金約20万円を支払っていなかったことがわかった。支払いの契約書は交わしていなかった。朝日新聞の指摘を受けて今月10日、支払った。
政治資金規正法は、会社などの団体が、政党や政治資金団体以外へ政治活動に関する寄付をすることを禁じている。
総務省は、今回のケースで代金を支払う約束をしていなかった場合、「会社から候補者への寄付」にあたる可能性もあるとしている。寄付だった場合は公職選挙法上、候補者の選挙運動費用を記した「選挙運動費用収支報告書」に記載する必要がある。
谷川氏の地元事務所によると、谷川氏は昨年10月13日、離島で遊説するために五島産業汽船を通じて船をチャーター。長崎県佐世保市から小値賀町と新上五島町を回り、夕方に佐世保市に戻った。このチャーターをめぐる記載は、「選挙運動費用収支報告書」になかった。
朝日新聞の指摘後、事務所は五島産業汽船の破産管財人に、代金を計算して請求するよう依頼。計19万4400円を支払った。「選挙運動費用収支報告書」に「交通費の支出」として追加で記載したという。
事務所の松岡寿秘書は「ちゃんと支払うつもりだったので、違法な寄付にあたるとは考えていない。選挙中でバタバタして、請求書が来ていないことを確認していなかった」と説明している。
谷川氏は、離島航路政策に影響力を持つ自民党離島振興特別委員会の委員長。五島産業汽船が運航していた定期航路は当時、すべて谷川氏の選挙区内を通っていた。谷川氏は今年10月の朝日新聞の取材に対し、「(破産申請前の同社社長と)頻繁に会う間柄で、長崎県の補助金についても陳情を受けていた」と話していた。
国庫で賄われる長崎県の離島航…