アフリカ支援などを話し合う7回目の「アフリカ開発会議」(TICAD7)を来年8月に控え、安倍晋三首相が2年前に約束したアフリカへの300億ドル規模(約3・4兆円)の投資実現に黄信号がともっている。想定した民間投資が伸びず、今年9月で達成できたのは160億ドル。現地の日本企業からは見通しの甘さを指摘する声も出ている。
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首相は19日、来日中のアフリカ南部ザンビアのルング大統領と会談し、「TICAD7にぜひご出席をいただき、力を合わせて成功に向けて連携していきたい」と述べた。20日には在日ザンビア大使館と日本貿易振興機構(JETRO)が都内でビジネスフォーラムを開き、日本企業に投資を呼びかける。
首相は2016年にあった前回のTICADで、16~18年の3年間に官民合わせて300億ドル規模を投資する方針を表明。「日本は必ず約束を守る国で、一つ残らず実行いたします」とまで言い切っていた。
外務省によると、300億ドルは政府の途上国援助(ODA)のほか、国際協力銀行など政府系金融機関の融資、民間企業の直接投資などで構成され、当時、実施が見込まれるものを積み上げたという。
それぞれの割合を公表していないが、ODAは9月時点で目標額の約96%を実施済みという。河野太郎外相は今年10月のTICAD閣僚会合で目標額の達成に向け、民間の直接投資を促したものの、外務省幹部は「現状では目標を達成できるかわからない」と話す。(竹下由佳)
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