来年10月から消費税率がいまの8%から10%に上がり、同時に飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率も導入される。増税の影響を和らげるため、来年度予算案には総額2兆280億円の臨時の対策が盛り込まれた。5年半ぶりとなる消費増税で、私たちの暮らしにはどのような影響があるだろうか。
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軽減税率のわかりにくい線引き
消費増税にあわせて、初めて導入される軽減税率は、消費税率が10%に引き上げられた後も、酒類や外食を除く飲食料品と、週2回以上発行され、定期購読されている新聞の税率を8%に据え置く。生活に欠かせない飲食料品を中心に税率を抑えることで、低所得者の負担を軽くするねらいがある。お金持ちも低所得者も一律にかかる消費税は、低所得者ほど負担が重いとされているからだ。
しかし、ひとくちに「飲食料品」と言っても、日々の買い物ではどちらの税率が適用されるのかがわかりにくいものもある。
例えばみりん。アルコール分が1%以上の本みりんや料理酒は酒税法上の「酒類」に該当するため、軽減税率は適用されず、税率は10%となる。ところが、同じ棚に並んでいても、アルコール分が1%未満の「みりん風調味料」は軽減対象となり、税率は8%だ。
このほか、飲料用のミネラルウォーターは軽減税率の対象だが、水道水は風呂や洗濯といった生活用水としても使われるため、飲食料品とみなされず、税率は10%になる。
軽減税率の対象外となる外食の範囲も線引きが難しい。原則として、事業者がイスやテーブルなどの飲食設備のある場所で客に飲食させた場合は「外食」となり、税率は10%。コンビニエンスストアで弁当を買い、店内のイートインコーナーで食べる場合、外食扱いなので税率は10%だ。
一方、買った弁当を客が持ち帰り、自宅で食べる場合は8%となる。レジで会計する際、従業員から店内で食べるのか、持ち帰って食べるのかを聞かれる場面が出てきそうだ。
外食と同様、客が指定した場所で料理を温めたり、配膳したりする「ケータリング」も軽減税率の対象外だ。企業がパーティーなどでケータリングサービスを頼む場合は、税率は10%となる。ただ、同じケータリングでも、有料老人ホームで入居者に提供される食事や学校給食など、それ以外の方法で食事をとることが難しい場合には、8%が適用される。
このほか、ピザやそばなどを出前で取った場合は単なる飲食料品の販売とみなされ、8%が適用される。
こうした複数の税率に対応するため、事業者側はレジの改修などが必要になるが、対応は遅れている。導入後、店頭で混乱が生じる可能性がある。
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