来年10月から消費税率がいまの8%から10%に上がり、同時に飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率も導入される。増税の影響を和らげるため、来年度予算案には総額2兆280億円の臨時の対策が盛り込まれた。5年半ぶりとなる消費増税で、私たちの暮らしにはどのような影響があるだろうか。
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消費支える5%のポイント還元
増税後の消費の落ち込みを防ぐ対策の目玉が、ポイント還元策だ。中小店舗で現金を使わない「キャッシュレス決済」で買い物やサービスを受けると、国の負担で決済額の原則5%分のポイントが客につく。来年10月の増税後から2020年6月末まで、9カ月間の期間限定だ。対象となる決済手段は電子マネーやクレジットカード、QRコードを使った決済など、幅広く認められる予定だ。
たとえば、1千円の商品を10%の消費税込みの1100円で買うと、この決済額の5%、55円分のポイントがつく。今回の消費増税で増える支払額は商品価格の2%分の20円だけなので、実質減税のようなものだ。商品が軽減税率の対象となる飲食料品もポイント還元の対象なので、その場合はさらにお得になる。
ただ、中小事業者の支援が目的なので、コンビニや外食など大手のフランチャイズチェーンの店舗は還元率が2%に下がる。大手スーパーや百貨店などは対象外だ。キャッシュレス決済は都市部に比べ、地方で普及が遅れており、その分、地方に住む人は恩恵を受けにくい。そこで政府はキャッシュレス決済の導入に必要な費用を補助して普及を後押しするが、期間限定の支援でどこまで広がるかは見通せない。
ポイント還元の終了後の消費を支える対策として、マイナンバーカードで使える「自治体ポイント」の加算も行われる。19年度に、自治体ポイントをウェブ上で買えるようにしたうえで、20年度から買ったポイントに一定の加算をする予定だ。ポイントは各地の特産品を買えるサイト「めいぶつチョイス」や一部の自治体の商店街などで使える。ただ、現状ではほとんど普及しておらず、効果はかなり限られそうだ。
このほか、景気を下支えする公共事業も増やす。相次ぐ自然災害を踏まえ、各地の重要インフラの機能を高める総事業費7兆円規模の緊急対策を策定。今年度から3年間で3・6兆円の国費を投じる。だが、社会保障費に充てる増税をするために、なぜ公共事業を積み増すのか、疑問の声もある。
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