徳島県美馬市は、大塚製薬、サッカーJ2徳島ヴォルティスとタッグを組み、運動不足の市民の健康作りに乗り出す。プロのコーチも関わるプログラムは8週間。終了1カ月後、市は参加した市民が運動を続けているかを確認し、結果に応じてヴォルティスへの報酬を上乗せする。成果に「コミット」する作戦だ。
美馬市が2019年度に始めるプログラム。対象は、日頃運動の習慣がなく、肩や腰に慢性的な痛みを感じている20歳以上の市民で参加費は4千円。
参加者は週1回、市の施設、地域交流センター「ミライズ」(予定)であるグループトレーニング(25人)で、ヴォルティスのコーチ2人から、ストレッチや軽いトレーニングで正しい体の使い方を学ぶ。専用の端末を使って収集した活動量や睡眠時間などのデータを基に、個別の運動メニューも作成してもらう。運動後などに食べるように大塚製薬の栄養食「ボディメンテゼリー」も週2回分支給される。
市はプログラムの運営は徳島ヴォルティスに委託しているが、報酬の一部は、参加者に運動習慣が定着したかどうかなどに合わせて支払う「成果連動型」。出来高払いを含めた5年間の事業費は最大約5千万円の見通し。約420万円は国の地方創生推進交付金を見込んでいる。
市は23年度までの5年間で1800人の参加を目指す計画。参加者の半数が65歳以上の場合、医療費や介護給付費が5年間で約1500万円削減されると試算している。
プログラムは、社会の問題の解決に向けて官民が連携する「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」という仕組みを使った取り組み。市によると、Jリーグクラブが加わったSIBは全国初だという。
美馬市の藤田元治市長は11月にあった覚書の締結式で、「医療費や介護給付費の抑制は大変大きな課題。解決に向け大きく前進すると期待している」と話した。徳島ヴォルティスの岸田一宏社長は「プログラムを通じて、体を動かす楽しさや大切さを体感し、『美と健康のまちづくり』のお手伝いができれば」と意気込みを語った。(佐藤祐生)
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〈美馬市〉 吉野川中流の徳島県北部にあり、総面積の約8割が森林。人口は約2万9千人。65歳以上の高齢者が占める割合は、10月1日時点で約38%。