家庭や学校などで困難を経験した人たちがスポーツ大会に参加する動きが広がっている。一方で、「フリースクールの子が頑張るなんて」と好奇の目で見られたり、「遊びよりも学校や仕事が先」と批判されたりすることもある。大会に携わる人は、意義を訴え、理解を得ようとしている。
10月に東京であったフットサル大会「ダイバーシティカップ」。児童養護施設出身者など親を頼れない若者がメンバーの「フェアスタートと愉快な仲間たち」(神奈川)が3大会ぶり2度目の優勝を果たした。9得点で得点王になった男性(25)は、父親からの虐待が原因でJリーグ東京ヴェルディ傘下、相模原ユースも高校もやめた元サッカー選手だ。
大会はホームレスの自立を支援するNPO法人ビッグイシュー基金が主催。5回目となる今大会には、宮城、福島、東京など東日本の6都県から10チームが参加した。難民、ギャンブル依存症、障害者ら、偏見を受けやすいマイノリティーの選手117人を含む156人が参加した。
別のチームで出た三觜(みつはし)徹さん(58)は、建設の孫請け会社で激務が続いた頃に倒れた。病院でうつと発達障害と診断を受け、53歳で無職に。だが、就労移行支援施設に通いながらサッカーを始めると、練習中自殺を考えなくなった。「走って守備をしたときに褒められ、久しぶりでうれしかった」。人の目を見られない恐怖症を克服しながら、今は書籍を扱う会社で働く。
11月3日には宮城県岩沼市で第3回MKBカップが開かれた。主催するNPO法人まきばフリースクールの中山崇志さん(38)は「虐待は自分ではどうしようもないことなので、受け続けるとすぐ諦めるようになってしまう。(同カップは)諦めない自分と出会う日になる」と話す。12月~来年1月には、子育て世代の女性が中心となるダイモンカップが那覇市などで開かれる。それぞれ、孤立を脱して他者とのつながりを作ることや、生きる意欲と自信回復をテーマに掲げている。
こうした大会について、スポー…