平成を振り返ると、様々なブームがありました。仏像人気が高まり、各地にゆるキャラが誕生し、ミュージシャンのボブ・ディランさん(77)がノーベル文学賞を受けました。世の中に先駆けて「マイブーム」としてこれらに注目したのが、みうらじゅんさん(60)です。今日は平成最後の大みそか。新年から「京都と平成」シリーズを始めるのを前に、京都市出身のみうらさんに平成の「マイ文化」を語ってもらいましょう。
――みうらさんといえば仏像です。暗いお堂に安置されてきた仏像に早くから注目し、2009年の「国宝 阿修羅展」(※1)では「阿修羅ファンクラブ」の会長にもなりました。おかげで阿修羅ブームがわき起こり、その後の仏像展もヒット続きです。
「小学校4年生の時に突如グッときてわき起こった『仏像マイブーム』を、ずっと今まで言い続けてきただけで、阿修羅展の時に、主催者からファンクラブ会長に担ぎ出された時には『えっ、時代は仏像に対してそんなになっているの』と逆にびっくりしたけれどもね」
――謙遜されますが、間違いなく功労者です。2000年ごろからゆるキャラにも注目してきました。今や各地の自治体が「わが町のゆるキャラを売り込め」と目の色を変えています。
「ゆるキャラは昭和の悪(あ)しき風習(笑)。平成になっても地域の催事会場の片隅に所在なさそうに立っている姿を見つけて、『それなら相応なネーミングが必要だろう』と『ゆるキャラ』と命名したまでのことです」
「そういった昭和から平成になったのに、気づかれないまま引き継がれたものが結構あるでしょ。平成の初めに目くらましみたいなバブルで浮かれ、昭和の『しょうがないな~』というものまで残っちゃったというわけです。悪質タックルで浮かび上がった体育会系の体質も、昭和のスポ根の名残ですしね」
――ボブ・ディランさんも、みうらさんが「好き、好き」と言い続けていたから、ノーベル賞をとったというわけですね。
「そんなわけないじゃないです…