千葉市美浜区の幕張地区にキャンパスを構える神田外語大学の学生たちが、お得な学割回数券で地元の飲食店を巡る企画を始めた。その名も「幕割(まくわり)」。500円券7枚つづりの回数券は3千円。券1枚でオリジナルメニューと交換できるほか、店によって500円の金券などとして使える。高校生以上の学生、生徒ならだれでも利用できる。1月末までの期間限定企画で、学生たちは「地元の商店街を盛り上げたい」と話す。
同大の外国語学部国際コミュニケーション学科の鶴岡公幸教授ゼミに所属する3年生8人が必修科目「ビジネス研究演習」の一環で取り組んでいる。
学生たちによると、キャンパスに近いJR幕張駅周辺は個人経営の店が多いが、やや入りづらく感じるのか、学生の利用は少ない。その一方、大学の学生食堂は混み合うことが多かった。そこで学食の混雑解消を図るとともに、学生の外食の幅を広げて同時に地域の飲食店を盛り上げようと「幕割」を企画した。
学生たちは今年夏から協力店集めに奔走。ゼミの時間や放課後を使い、幕張駅周辺などにある約30の飲食店を「営業」に回ったところ、ラーメン店やケーキ店、レストラン……と計10店が呼びかけに応じた。
JR幕張本郷駅近くにあるホテルメイプルイン幕張もその一つ。運営会社「幕張実業」の役員、宮地香緒里さん(41)は「学生にとって思い出に残る街になってほしい」と快諾し、幕割用のオリジナルメニューとして、鶏肉とミートボールがたっぷり乗った「彩鶏(いろとり)丼」をつくった。
他に、タイ料理店「幕張ファイデーン」、中華料理店「芳葉」、ラーメン店「麺や陽空(はる)」、そして同大の学生食堂「食神」の4店も企画用にオリジナルメニューを提供している。
学生たちは何度も店に通い、交渉にあたった。「営業」は初めての経験だ。大浦陽菜さん(21)と清水璃沙さん(21)は「直接足を運び、こまめに連絡を取り合う大切さを学びました。就職活動前の貴重な体験です」。
ウェブデザイナーを志望する瀬野健也さん(20)は、ポスターやパンフレットのデザインを担当した。「自分がつくったデザインを実際に使う経験ができて勉強になりました」と話す。鶴岡教授は「この経験を踏まえ、地元の飲食店とのコラボ企画を継続的にやりたいですね」と話した。
回数券は同大の学食か、ホテルメイプルイン幕張で販売しており、学生証を提示すれば購入できる。
個人情報の関係で、「幕割」に関する問い合わせは、学生に代わって、神田外語グループ法人本部広報部(03・3258・5837)で受け付けている。(前田基行)