京都女子大(京都市東山区)のサークル「京都女子大考古学研究会」の学生らが如意ケ嶽(にょいがたけ)(左京区)の山中で平安時代前期(9世紀前半)の寺院跡を調査し、「幻の寺」とされてきた山林寺院の「檜尾(ひのお)古寺」であることを突き止めた。同研究会顧問の梶川敏夫・京都女子大非常勤講師(69)=歴史考古学=は「日本の仏教史を考える上で重要な発見」と評価する。
梶川さんによると、同研究会は2017年5月から18年10月にかけて、如意ケ嶽の南側の斜面を測量するなど調査。平安時代前期の建物跡2棟と瓦や土器などの遺物500点以上を発見した。
粘土を主材料とした仏像「塑像(そぞう)仏」の破片約50点も見つかり、分析の結果、漆の表面に金箔(きんぱく)を貼った「漆箔(しっぱく)」が施されていることがわかった。遺物の制作年代のほか、調査地南側で寺を開いた平安時代の僧・恵運(えうん)が書いた「安祥寺(あんしょうじ)資材帳」の記述から、調査地が檜尾古寺跡だと判断した。
日本では塑像仏は奈良時代に集中して制作されており、木彫が主流となった平安時代以降の作例は珍しいという。
同大学4年の宮本麻菜(まな)さん(22)は「重い測量器具を持って山に入るのは大変だったが、調査が実を結んで良かった」と話した。
調査成果を2月17日まで、京都市考古資料館(上京区今出川通大宮東入)で展示している。瓦や塑像仏の破片、写真パネルなど約100点を見ることができる。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌日休館)。開館時間は午前9時~午後5時。入場無料。問い合わせは同館(075・432・3245)へ。(大村治郎)