サントリーホールディングスの新浪剛史社長は24日、スイス・ダボスで朝日新聞のインタビューに応じ、2014年に買収した米蒸留酒大手ビーム社(現ビームサントリー)との統合について「8合目まで来た」と述べた。日米の開発陣が共同で手がけたウィスキーの新商品を米国で年内に投入する方針で、商品開発で連携を強め、統合効果を高める考えを示した。
サントリーは14年5月、バーボンの「ジムビーム」で知られるビーム社を1兆6500億円で買収。新浪氏は「『やってみなはれ』の精神とともに、お客様との接点を大事にする考え、ものづくりの文化を入れ込んだ」と説明。米国でハイボールの飲み方を広めたり、米国の工場に技術者を派遣してノウハウを共有したりと、販売・生産面で統合効果が出ているという。
今後は商品開発での連携を強化する。サントリースピリッツとビームサントリーが共同開発した高級ジン「ROKU(ロク)」、高級ウォッカ「HAKU(ハク)」に続き、今春に国内で高級ウイスキー「碧Ao(アオ)」を投入。新浪氏はさらにウィスキーの新商品を米国で投入し、米国以外でも販売を目指す考えを示した。
ビームサントリーの拠点を活用し、新興国への展開も加速させる。インドではウイスキーの新商品の現地生産を検討しており、2~3年以内には具体的な投資を決める方針だという。(ダボス=寺西和男)