外出先で雨に降られ、つい買ってしまうビニール傘。安くて手軽だが、家に何本もたまり、やがてはゴミになる。そんな浪費をなくし、環境に優しい仕組みはできないか。「傘シェアリング」の試みが、少しずつ広がっている。
東京・渋谷で昨年12月に始まったのは、一日70円で傘を貸し出す「アイカサ」というサービス。鍵付きの特注傘とスマートフォンを連動させ、クレジットカードで少額課金する。
スマホのLINEアプリに、アイカサのアカウントを追加すると、シェア傘の置き場所が地図上に現れる。最寄りの置き場所で、傘の柄のQRコードをスマホで読み取ると、鍵を開くパスワードが表示され、使えるようになる。
有料にしたのは、サービスを持続可能にするため。観光地や駅では忘れ物傘を無料で貸し出しているが、返却しない人も多く、傘が補充できず尻すぼみになりがちな面がある。
料金の設定で念頭に置いたのは、ビニール傘を買うよりお得感があるかどうか。料金は2日目以降、借り続けても月額で最大420円。コンビニのビニール傘(1本500~600円)と張り合えるようにした。
アイカサの運営会社を立ち上げた丸川照司さんは「急な雨の日の傘を、だれも望んで買っていない。丈夫で長持ちする傘をみんなでシェアする仕組みができれば、使い捨ての風潮も変わっていくはず」と期待する。
丸川さんは台湾と日本のハーフで、24歳。シンガポールなど東南アジアで育ち、中国語と英語も話せる。中国のシェアリングブームを参考に、ビジネスモデルを考えた。カラオケ店や映画館、オフィスビルなど約50カ所に、1千本近いシェア傘を配置した。今春までに3倍の規模に拡大する予定で、2020年には、3万本を目指している。
一方、無料のサービスを拡大中…