式の1時間前には、店出し後1、2年の赤い半襟姿の舞妓がせいぞろい。そわそわしながら、先輩の芸舞妓が来るのを待つ=1月7日、京都市東山区、佐藤慈子撮影
京都の花街(かがい)の1年は、始業式で幕を開ける。
石畳の路地を、黒紋付きの正装で、正月らしく稲穂の髪飾りをつけた芸妓(げいこ)や舞妓(まいこ)たちが歩く。式へ向かう道すがら、「おめでとうさんどす」のあいさつが、そこかしこで交わされる。そんな彼女たちの姿を逃すまいと、花街の至る所でアマチュアを含めたカメラマンが待ち構え、無数のシャッターを切る。それまでの静けさがうそのように、底冷えのする冬の京都の街がにわかに活気づく。
芸妓が到着すると、すぐに駆け寄ってあいさつ。「おめでとうさんどす、ねえさん」「おめでとうさんどす、ねえさん」の声が響き渡る=1月7日、京都市東山区、佐藤慈子撮影
《この不思議な町は、時代遅れといおうか、時代錯誤といおうか、相変らず十年一日のごとく、四季のけじめをつけ、季節感を生活の緯線にし、年中行事を経線にして祇園の生活は織りなされている》
京都花街マガジン、始めました
瀬戸内晴美(現・寂聴)さんが1971年から72年にかけ、京都の花街・祇園を舞台に連載した小説「京まんだら」に、こんな一節がある。
先輩を待つ舞妓たち。固まって談笑する姿は、女子校の休み時間のよう=1月7日、京都市東山区、佐藤慈子撮影
さらに寂聴さんは、書く。
《外にはどんな嵐が吹きあれて…