東京都千代田区内のホテルなど19事業者が1月、施設利用客以外にもトイレを開放し、分かりやすい表示も始めた。五輪・パラリンピックを控え、観光客が周遊しやすい環境を整える狙いで、区の協力要請に応じた。都内では公衆トイレの改修も進んでいる。
協定を結んだのは、ホテルメトロポリタンエドモント、KITTE、東京交通会館、学士会館、ローソン(22店舗)など。五輪・パラリンピックが終わる来年9月6日まで、施設利用者以外でも一部のトイレを使えることとし、「ちよだ安心トイレ」のステッカーを貼り始めた。該当のトイレは149カ所で、区によると、都内の自治体で初の取り組みという。
外国人ら区外からの訪問客が公衆トイレを探して困らないよう、区が事業者に協力を求めた。協力事業者に区が3万円を支払い、区のサイトなどで場所を知らせる。以前から一般開放していた事業者もあるが、「表示や周知をすることで、初めて訪れた観光客でも安心して使える」と区の担当者は説明する。今後、協力事業者を増やし、期間延長も検討したいという。
宿泊施設やレストランがある学士会館は、1階と屋外のトイレ3カ所にステッカーを貼った。以前から会館利用者以外でも使えたが、「気兼ねなく利用を」と担当者は話す。
公衆トイレについては、五輪・パラリンピックに向けたバリアフリー化として、都が洋式化や手すりの設置などを進めている。2018年度までの2年間でトイレ1500基分の経費計9億円を区市町村への助成費として予算計上し、19年度も1450基分の7億円を予算案に盛り込んだ。千代田区でも20年度までの3年間に、区内の公衆トイレの大半にあたる32カ所で洋式化や説明表示の多言語化を進めている。(岡雄一郎)