子ども向けの遊び場や文化活動の拠点として親しまれ、2015年に閉館した旧「こどもの城」(東京都渋谷区)について、東京都は、施設内にある青山劇場と青山円形劇場を改修し、再び活用する方針を固めた。改修費は数十億円の見込み。地元の渋谷区や都議会の意見を踏まえ、子ども向けの施設も残す方向で検討している。
都は19年度当初予算案で、旧こどもの城の土地と建物を国から買い取るための経費として約600億円を計上。20年東京五輪・パラリンピックではボランティアの研修会場やスタッフらの休憩場所として使い、大会後は「都民の城」(仮称)として再整備する計画を進めている。
都がまとめた「活用の基本的考え方」によると、大会後の活用では「子どものための機能」を盛り込んだ。空中ネットや滑り台が設置されていた「プレイホール」は壊さずに、残す方針。舞台を客席がぐるりと囲む形状が特徴の円形劇場や、ミュージカル「アニー」など数多くの公演の舞台となった青山劇場は改修したうえで、芸術活動を行える多目的ホールにすることを検討している。
ほかにも、高齢者の学びの場や、障害がある人もない人も利用できるスポーツ施設、女性向けの起業支援施設などもつくる方針という。都は29年以降については、隣接する国連大学の土地など、周囲の都有地を含めた計4・5ヘクタールを一体的に整備したい考えだ。
旧こどもの城をめぐっては、都が昨秋、複合型施設として整備すると表明。地元からは子どもが遊べる施設や劇場の復活を望む声があがっていた。(西村奈緒美)