高級和ろうそくや化粧品の原料となるブドウハゼ。和歌山県紀美野町内にあった原木は県の天然記念物に指定されていたが、1955年ごろに枯死したとされていた。しかし、地元の高校生が原木とみられる木を発見し、DNA調査や年輪調査などから原木である可能性が高いとの結果が出た。県は、天然記念物への再指定を目指している。
ブドウハゼはウルシ科のハゼノキが突然変異した品種で、ブドウの房のように実ることが名前の由来。県文化遺産課によると、原木は江戸時代末期に見つかったと言われ、34年に県の天然記念物にも指定されたが、55年ごろに枯死したとされていた。現在も地元で栽培されているブドウハゼの木は、原木を接ぎ木したものだという。
原木とみられる木を発見したのは、紀美野町のりら創造芸術高校の三木明音さん(2年)と横田沙羽子さん(2年)。地域の特性などを学ぶ「地域デザイン」の授業の一環で住民に聞き取り調査をしたところ、枯死したとされる原木について「今でも残っている」との証言を得た。証言にもとづき探したところ、2017年に同町松瀬地区内で原木とみられる木を発見。三木さんと横田さんは「原木の資料写真と枝ぶりや背景の稜線(りょうせん)が似ていた。鳥肌が立ちました」と振り返る。
2人が見つけた木について、同校は、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールにも指定されている県立向陽高校(和歌山市)にDNA調査を依頼した。
向陽高校環境科学科の生徒5人は、発見された木と栽培種のブドウハゼやヤマハゼなどの葉のDNAを比較。見つかった木のDNAが栽培種のブドウハゼと類似性が高いことなどが分かったという。今年1月15日に調査報告会で発表したリーダーの小堀良太さん(2年)は「予想以上にきれいな結果が出て驚きました。同世代の活動に科学的な部分で協力できてうれしい」と話した。
また、これまでの県の林業試験…