山形大学付属博物館(小白川キャンパス)で上半身だけが展示されてきた「結髪(けっぱつ)土偶」(縄文時代晩期)の左足が見つかった。山形県寒河江市が所蔵していたといい、約90年ぶりに「再会」した。同館で展示中だ。
結髪土偶はまげを結った女性の姿を模した土偶で、高さ15センチ、肩幅16センチ。同館のキャラクター「けっぱつちゃん」のモデルとしても親しまれている。山大によると、上半身、左足とも1921(大正10)年ごろ、寒河江市の石田遺跡で発掘されたという。石田遺跡は、現在のJR左沢線石田踏切付近で、線路工事の際に縄文、弥生時代の遺物が出土した遺跡だ。
上半身も左足も地元の大地主の安達又三郎氏が持っていたが、上半身は出土後、数年のうちに西村山郡教育会に寄贈され、県教育会を経て山大博物館に移った。左足は2015年に寒河江市に寄贈された。
昨年7月、郡山女子大短期大学部の会田容弘教授の調査で、左足の断面や文様が結髪土偶と一致することが判明した。山大出身の会田教授は、以前に左足を見たことがあったことから、一致の可能性に気づいた。寒河江市の担当者に伝えたところ、調べてみることになった。会田教授によると、断面は比較的新しいもの。発掘時に割れて上半身と左足に分かれた可能性があるという。
昨年11月、同館に左足が寄贈された。今後、上半身と左足の接合を試みる。「全体像の復元や、県内の縄文文化の研究の進展につなげたい」と説明している。