LGBTなど性的少数者に厳しい態度をとる米政権を風刺し、約70万部のヒットとなった米国の絵本が、日本でも出版された。過去、同性婚に反対の立場を示してきたペンス米副大統領が飼うウサギが主人公だ。日本でも政治家の性差別発言が相次ぐなか、絵本出版の老舗、岩崎書店の岩崎弘明代表取締役(79)が人間の多様性を伝えたいと自ら奔走し、出版にこぎ着けた。
絵本は「にじいろのしあわせ マーロン・ブンドのあるいちにち」。雄ウサギマーロンの日常は、魅力的な雄ウサギのウェスリーと出会って輝き始める。2匹の結婚を「ふつうとちがう」と非難するカメムシに対し、応援する動物たちが「ふつうとは?」と問いかけ、物語は展開していく。
「マーロン・ブンド」はペンス氏のウサギの名前。インスタグラムで3万人のファンを持ち、「Bunny of the US(アメリカ合衆国のウサギ)」として知られる。マーロンを主人公にすることで、同性婚に反対の立場を示してきたペンス氏を皮肉っている。
もともとは、ペンス氏の妻と娘がマーロンの目からペンス氏を紹介する絵本を企画。それに対抗し、アメリカの政治風刺番組が、本の装丁や題名をまね、別の絵本を作ることを思いつき、プロジェクトを立ち上げた。こうして昨年3月に出版されたのが「にじいろのしあわせ」の原書「A Day in the Life of MARLON BUNDO」。ペンス氏の家族の絵本より売れた。ペンス氏の娘シャーロットさんも読んだといい、米フォックス・ビジネスの取材に「絵本の売り上げは(LGBTの若者を支援する団体に)寄付されている」と絵本に寛容な姿勢を見せた。
岩崎さんは米国でベストセラー…