親による児童虐待が後を絶たない。深刻なケースに対しては、親権を最長2年間停止させたり、親の同意がなくても施設に入れたりする「介入」の仕組みがあるが、十分に活用されているとはいえない。安倍晋三首相は今月、国会で親権停止などの適切な運用に言及したが、自治体が二の足を踏む背景とは。
小さないのち 「児相の現場から」
「『親権停止』があったから、今の生活がある」
子ども時代に実親から虐待を受けていた20代の女性はこう振り返る。申し立てが家庭裁判所に認められ、女性の実の親は2年間、親権を止められた。
女性は子どものころ、風呂に入れてもらえなかったり、冬に廊下にふとんを使わず寝るように強いられたりした。トイレに数日間、閉じ込められた時は、命の危険すら感じた。異変に気づいた学校の先生が児童相談所に通告。一時的に、親元を離れて児童養護施設で暮らすことになった。
高校卒業の時には、「教員にな…