マドゥロ大統領の独裁への反発が広がる南米ベネズエラの各地で12日に開かれた大規模な反政府集会は、現地報道によると10万人以上に膨らんだ。反政権側の勢いは強まっており、マドゥロ氏支持を表明してきたロシアや中国は微妙に立場を変え始めている模様だ。
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「マドゥロ退陣までデモをし続ける」。カラカスでの集会に参加した大学生マルコ・ロルダンさん(19)は語った。病院の近くに住むが薬がなく、死んでいく人と家族を毎日のように見る。「悲劇が日常だ。国を変えなければいけない」
国民は食料や医薬品の不足に直面する。だが、マドゥロ政権は「汚染されており、食べれば体を壊す」「支援を装った侵略だ」などと主張し、米国からの人道支援物資の搬入を拒んでいる。暫定大統領を宣言したグアイド国会議長は「23日に物資は国に入る」と演説。軍に協力を求めるとともに、人道物資を止める政権への圧力を強めている。
グアイド氏側はこれまで、米国から資産凍結などの制裁を受ける国営石油会社について、役員を指名したり、海外口座の管理に乗り出したりすると表明していた。ロイター通信は12日、実際にグアイド氏側が国営石油会社が米国に持つ関連企業CITGOの役員6人を指名したと報じた。
一方、マドゥロ氏を支持するロシアのラブロフ外相は12日、米国のポンペオ国務長官と電話会談した。ロシア外務省によると、米国の軍事介入を認めないとしつつ、国連憲章に沿った協議をする用意があると表明した。ロイター通信によると、政権と反政権側との対話を促す準備があるとの認識も示したという。ロシアは当初、グアイド氏側と接触するつもりはないとしていた。
中国も「マドゥロ後」を見据えて動き始めた可能性がある。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、中国の外交官が米国でグアイド氏側の代理人と接触し、中国がベネズエラで関わる石油開発計画の継続などについて話し合ったという。中国外務省の華春瑩副報道局長は13日の定例会見で、同紙報道を「フェイク(偽)ニュース」と否定した。(サンパウロ=岡田玄)