大阪を後にして、運転席の塩崎敦史さん(26)と助手席の由加里さん(31)は、ずっと無言だった。
高知まで車を走らせた。由加里さんは晴れわたった空をぼんやりと見ながら、おなかに手を当てた。エンジンの振動で羊水が揺れているのがわかった。
双子の女の子を妊娠し、7カ月を迎えていた昨年5月8日。その日もふだん通り、高知大医学部付属病院で定期検診を受けた。
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主治医はエコー画像を確認すると、別の医者を呼んだ。2人で何ごとかを話した後、「双胎間輸血症候群の疑いがあります」「すぐに大阪の病院に行ってください」と告げられた。
翌9日、敦史さんと大阪の病院を受診した。胎児の一人に血液が行きわたりすぎる病気と説明された。
10日、手術を受けた。胎児同士をつなぐ胎盤の血管をレーザーで焼いた。下腹部に鈍い痛みを感じた。
11日、医師にエコー画像を見…