政治学者の山本圭・立命館大准教授(寄稿)
■やまもと・けい 1981年生まれ。立命館大准教授。専門は現代政治理論・民主主義論。著書に『不審者のデモクラシー ラクラウの政治思想』など。
英国のブレグジットやフランスの黄色いベスト運動、そして5月には欧州議会選挙を控え、何かと話題に事欠かない欧州政治。キーワードになるのはまたしても「ポピュリズム」だ。しかし、こんかい話題にしてみたいのは、排外主義的な性格の強い、いわゆる〈極右ポピュリズム〉ではない。たとえば、社会正義と平等を訴える、そんなポピュリズムがあるとしたらどうだろうか? それが〈左派ポピュリズム〉である。
もとよりポピュリズムに対しては、「大衆迎合主義」と(誤って)翻訳されることが多いせいか、本邦ではことのほかネガティブな印象が強い。これが喚起するイメージといえば、デマゴーグによる人気取り政策、あることないこと放言する民主主義の腐敗、おおかたそんなところだろう。
とはいえ、元来ポピュリズムと…