芭蕉や西行から小林秀雄まで幅広く文学を論じた、文芸評論家の高橋英夫(たかはし・ひでお)さんが13日、老衰で死去した。88歳。葬儀は近親者で営んだ。喪主は長女野呂真名子さん。
1930年生まれ。東京大卒。70年の評論集「批評の精神」(亀井勝一郎賞)で小林秀雄や折口信夫を論じ注目を集めた。81年の「志賀直哉 近代と神話」で読売文学賞、漱石から明治の精神を読み説く「偉大なる暗闇」で85年に平林たい子文学賞を受けた。ドイツの建築家を描いた評論「ブルーノ・タウト」でも知られる。訳書にホイジンガ「ホモ・ルーデンス」。後年は読書案内や、ドイツ文学、音楽にまつわるエッセーを出していた。97年から日本芸術院会員。89年まで本紙書評委員を務めた。