半世紀前から目撃情報が途絶え、中央アルプス(長野県)では「絶滅した」とされてきた国の特別天然記念物ライチョウを「復活」させる作戦が動き出した。別の場所で採取された有精卵を、中央アルプスで昨年見つかったメス1羽に抱かせて孵化(ふか)させる計画だ。
環境省によると、国内では初の試み。メスは自分の卵と勘違いして抱く可能性が高く、孵化が期待できるという。計画では5月中旬~6月上旬に、北アルプスの乗鞍岳(3026メートル)で複数の巣から最大6個の有精卵を採取して中央アルプスに運び、メスが産んだ巣の無精卵と入れ替える。
中央アルプスでは1969年を最後にライチョウの目撃が途絶え、絶滅したとされてきた。ところが昨夏、登山者が木曽駒ケ岳(2956メートル)でメス1羽を発見。環境省が現地調査をしたところ、近隣の乗鞍岳か、他の北アルプスの山から飛来した個体と判明、1年半以上定着しているとみられることもわかった。
環境省はこれを好機と捉えた。うまく孵化した場合は、母鳥から独立する10月まで追跡調査を行う。かつて絶滅した理由の解明や、天敵の存在など生息環境の調査も併せて進め、中央アルプスで個体群として復活させたい意向だ。
国際的なライチョウ研究者の中…