冷たい雨が降る中、過去最多の約3万8千人が参加した東京マラソン。雨に打たれながらも、完走したランナーたちは達成感から晴れやかな表情を浮かべた。
日本人首位は中大の堀尾、大迫は途中棄権 東京マラソン
3日午前のスタート時の気温は5・7度。号砲が鳴る前、ランニングウェアに雨がっぱを重ねたランナーたちは入念に準備体操した。「頑張れ」「自分に負けるな」。傘を差して沿道を埋めつくしたランナーの仲間や同僚らが声援を送ったり、垂れ幕を掲げたりして鼓舞した。
「おとうちゃん、頑張って」。川崎市の主婦、川久保晃代さん(47)は、夫の誠さん(39)の応援で小さな娘と35キロ地点付近の沿道に立ち、声援を送った。誠さんは完走後、「すごく元気が出ました」と話した。
東京マラソンへの出場は初めて。目標タイムは3時間切りだったが、寒さでいつもより体が動かず、惜しくも3時間8分。誠さんは「残念です」と肩を落としたが、「浅草の雷門を真正面に見て走れた。普段は感じられない景色。また挑戦したい」と話した。
神戸市の看護師、矢吹亜子さん(39)は地元のマラソンチームの仲間2人と参加した。マラソン歴は3年で、フルマラソンは9回目。「応援がすごく熱心で、表情を見ながら走った」
学生時代、ファッションデザイナーを夢見て、東京都内の美術大学に通ったが、周りとの力の差を感じて中退した。「今になってすごく悔しくて。この東京で夢を諦めた自分を超えたかった」。目標タイムに近い3時間30分台で完走した。
「練習での頑張りが、確実に成果に出るのがマラソンの面白さ」と矢吹さん。「今日は家に帰って、好きなだけビールを飲もうと思います」と笑顔で語った。(金山隆之介)