太平洋戦争末期にパラオやフィリピンなどで戦争の被害に遭った日本人と遺族計40人が、国に損害賠償と謝罪を求めた「南洋戦・フィリピン戦」国家賠償請求訴訟の控訴審で、福岡高裁那覇支部は7日、請求を退けた一審を支持し、控訴を棄却した。原告の代理人弁護士は上告する意向。
沖縄戦の損害賠償を国に求めた訴訟、住民側の敗訴確定
「たった一言で?」戦争で家族4人犠牲、判決にぼうぜん
原告は、戦前に日本が統治した「南洋群島」などでの日米の戦闘によって被害を受けた住民やその遺族。
一審・那覇地裁は、日本国憲法下の国家賠償法が施行されていない戦前の行為について、国は賠償責任を負わないとする「国家無答責」の原則を適用。高裁那覇支部の大久保正道裁判長は判決理由で「国が責任を負うと解する余地はない」とし、一審と同じ判断を示した。
戦争被害を受けた一般住民による集団訴訟は、東京大空襲、大阪大空襲、沖縄戦についてもあったが、いずれも原告敗訴が確定している。(伊藤和行)