千葉県船橋市の船橋港に係留されている旧南極観測船「しらせ(現SHIRASE)」で、火星を目指す模擬宇宙船として活用する実験「SHIRASEエクスペディション」が行われている。船の一部を宇宙船と宇宙空間に見立てて閉鎖。窓も閉じて外部との連絡を制限した空間で男女4人が10日までの16日間暮らす実験だ。
宇宙船「しらせ」爆誕 火星往復実験に南極観測ノウハウ
この実験は、厳しい条件下での住環境や生活を研究する「極地建築家」で、NPO法人フィールドアシスタント(横浜市)理事長の村上祐資(ゆうすけ)さん(40)が企画。将来、実現するとされている火星への有人飛行は、往復や滞在で3年以上かかるとされており、長期にわたる閉鎖空間での、人間の精神状態などを研究するのが目的だ。
第50次南極観測隊の越冬隊や米国の火星協会の施設で閉鎖環境を体験してきた村上さんは「火星への有人探査を成功させるためには、宇宙飛行士はただ生存しているのではなく、人間らしく暮らさないと意味がない。それにはどう暮らせばいいのかを、この実験で見いだしたい」と話す。
実験は2月23日から始まり、村上さんが集めたメンバーが参加。隊長として、インドネシア宇宙科学協会理事のベンザ・クリストさん(43)、ジャーナリストとして大学生の高階美鈴さん(21)、ミッションスペシャリストとして大学生の笠田大介さん(21)と副隊長の村上さんの4人が「宇宙飛行士」となった。
地球側の管制役として同NPO事務局長の栗原慶太郎さん(41)と大学生の池田未歩さん(19)の2人も24時間、管制室で宇宙船側をサポートしている。
船内のうち、南極観測隊員の寝室に使っていた部屋2室をクルーの寝室とし、ミーティングルームなどを加えたスペースを宇宙船にした。その下の階にある機関室を宇宙空間として、出入りができないように閉鎖している。
「地球」との交信は1日2時間だけで、タイムラグは6分間。24時間で、4人のうち誰か1人が起きて「当直」とし、4人が一緒に起きている時間は1日のうち4時間に設定している。
食事はフリーズドライやレトル…