宮城県東松島市でともに被災した二人の高校3年生がこの春、それぞれ巣立つ。両親と祖父、母親のおなかの中にいた妹を亡くした高橋さつきさん(18)と、ずっと彼女のそばにいた武山ひかるさん(18)。友情は、1冊の手づくりの絵本になった。 特集:3.11 震災・復興 2011年3月11日。 二人が通う大曲小の4年生の6時間目は、理科のテストだった。ゴゴゴゴッ。ものすごい音とともに揺れが襲う。潜り込んだ机ごと浮き上がりそうになった。 校庭に出てしばらくすると、さつきさんの両親が来た。母親は4月が出産予定。「赤ちゃんの道具がいる」と海のそばの自宅に取りに戻った。そのすぐ後に校舎まで津波が押し寄せた。「行かないで」と強く言えなかったことをさつきさんは今も後悔している。 家族4人を失った。母親の火葬のとき、おなかのところにぎゅっと丸まった赤ちゃんの骨があった。「一生懸命、生きようとしていたんだ」と思った。 「孤児」になったさつきさんには、同情の目が注がれた。学校で「さつきって親がいないんだよ」と、陰で言われる。取材に来た記者はみな「大変だったんですね」。嫌でたまらなかったという。 そんな中、ひかるさんだけは違… |
絵本のモデルは震災孤児の私 描いた友、あのときの思い
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