俳優の細川茂樹さんが所属事務所から契約を解除されたなどと伝えたTBSの情報番組について、細川さんから人権侵害の申し立てを受けていた放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は11日、「放送倫理上の問題がある」とする見解を公表した。放送の時点で細川さんが事務所の所属タレントであることを認める東京地裁の仮処分決定が出ていたにもかかわらず、言及しなかったことを問題視した。
問題になったのは、2017年12月29日の「新・情報7daysニュースキャスター 超豪華!芸能ニュースランキング2017決定版」。この年に話題だった芸能ニュースを振り返った際、細川さんについて「所属事務所からパワハラを理由に契約解除を告げられた」「今年5月契約終了という形で表舞台から姿を消した」などとナレーションを入れながら伝えた。
だが人権委が出した見解によると、16年末に所属事務所から専属契約の解除を通知された細川さんは、17年1月に専属契約の地位にあることを求めて東京地裁に仮処分を申請。同年2月に細川さんの訴えを認める仮処分決定が出ていた。番組はこの仮処分決定に触れていなかった。その後、5月に契約が終了したという。
この放送に対し、細川さんは「名誉・信用を侵害する悪質な狙いがあったと言わざるを得ない」と主張。18年1月に人権委に申立書を提出していた。
人権委は見解で、番組が仮処分決定に言及しなかったことは、「紛争・トラブルの事案を扱う際に特に求められる公平・公正性及び正確性を欠くことになった点について、放送倫理上の問題があると言わざるを得ない」と結論づけた。
また、番組は細川さんの「誰に何を言われようと、やんちゃに生きていきますね」という、今回の契約問題とは直接関係がない2009年のイベントでの発言もあわせて放送したが、人権委は「視聴者はこうした文脈を理解することはできず、本件放送の文脈からは、パワハラが疑惑ではなく実際に存在したという印象を強める効果を持っている」と指摘。「申立人の名誉や名誉感情に対する配慮が不十分であり、放送倫理上の問題がある」とした。
見解はまた、芸能情報番組の制…