多くの人が行き交い、出会いが生まれる鉄道の駅。JR門司港駅(北九州市門司区)には、駅員と戦地から引き揚げてきた母子との温かな交流を伝える「誇りの鏡」がある。代々の駅員が語り継ぎ、大切にしてきた。6年半の工事をへた駅舎は10日、1914(大正3)年の建設当時の姿に戻り、全面開業。これを機に鏡が一般公開されている。
楕円(だえん)の鏡の裏には「門司港駅の皆様へ 出生記念 池田左門司」と刻まれている。今は埼玉県上尾市に住む池田左門司(さもんじ)さん(73)は、1945年8月21日の生まれ。誕生日のたびに両親から聞かされたのはこんな話だ。
終戦の直後、身重の母親は2歳…