日本最大のノリ産地、九州の有明海に女優の羽田美智子さん(50)がやってきた。漁師らとともに船に乗り込み、ノリ養殖の現場を肌で感じ、味を確かめた彼女のねらいは――。
1月中旬の夜明け前。羽田さんは佐賀市のノリ漁師、徳永義昭さん(58)らとともに親船に乗り、有明海へ。午前7時半前、朱色に染まる朝日が、まん丸い姿を現した。
作業用の角舟に乗り移ってノリ網の元に行く。羽田さんは網を引っ張り上げ、ノリを手に取って口に運んだ。「軟らかくて口溶けがいい。きらきら光っていた。潮の香りもした」。目を輝かせた。
徳永さん宅も訪れ、ノリのつくり方を聞いた。「ノリへの愛情が伝わってきた。風が強かったり、波が荒かったりする時もある。寒さの厳しい中でつくっている」。森をきれいにすることが海にもつながっていると聞き、その循環の中でノリが生き生きしているとも感じたそうだ。
羽田さんは茨城県出身。実家はお店をしてきたが、食品などを販売していた80代の父が2015年に閉じた。羽田さんは「本当にいいものをみんなに知ってほしい」と6代目になることを決意。今年2月、名を継いだお店「羽田甚(はだじん)商店」をネット上に開いた。「美」と「健康」をテーマに、今は漬物などを通り扱っている。
有明海のノリは、マネジャーの高崎薫さん(35)が佐賀市出身で、高崎さんからそのうまさを聞いていたことなどから、扱う商品の一つとして自分の目で確かめにやってきた。羽田さんは「丹精込めて育てた最高の味」。佐賀ノリを発信する準備を進めている。販売は3月下旬になる見込みという。(祝迫勝之)