宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車は12日、月面を走行する有人探査車の開発を進めると発表した。水素で走る燃料電池車(FCV)の技術を用い、最大4人が居住できる。国際協力による有人月面探査の重要な技術となる。2029年の打ち上げをめざす。
トヨタが本格的な宇宙探査に参入するのは初めて。12日に東京都内で開かれた国際宇宙探査シンポジウムで発表した。
探査車は、全長6メートル、幅5・2メートル、高さ3・8メートルでマイクロバス2台分の大きさ。空気で満たされる与圧された居住空間は4畳半ほどの13立方メートルで、2~4人が長期間滞在しながら移動することが可能となる。
FCVは、燃料の水素を酸素と反応させて発電し、モーターで走る自動車。クレーターや丘など月の過酷な環境下でも1万キロ以上走破できる探査車の開発をめざすという。
宇宙飛行士の若田光一JAXA理事は「トヨタとJAXAが持つ技術、人材、知見などを生かし、着実に解決していきたい」とのコメントを発表した。(石倉徹也)