欧州連合(EU)は12日、米アマゾンやグーグルなど巨大IT企業への課税を強化する新税制「デジタル税」の導入を見送ることを決めた。複数の加盟国が反対し、導入に必要な全会一致に届かないと判断した。
EUは、恒久的な税制ができるまでの暫定措置として、IT企業が拠点をどの国に置くかにかかわらず、域内での売上高の3%を課税対象とする案を軸に2018年3月から検討してきた。背景には、巨大IT企業が世界中で国をまたがって巨額の利益を得ているにもかかわらず、税率が低い国に拠点を置き、他の国で利益に見合う税を納めていないという問題意識がある。欧州委員会によると、EU内でデジタル事業を展開する企業の実効税率は平均9・5%と、従来型の企業の23・2%を大きく下回る。
だが、合意の目標としていた12日の閣僚理事会で、全会一致に至らなかった。仏政府高官によると、反対したのは、税率を低くしてIT企業などを誘致してきたアイルランド、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの4カ国。IT企業が拠点を国外に移してしまう可能性や、巨大IT企業を抱える米政府の報復の恐れなどが主な理由だったという。
今後EUは議論の軸足を、全会…