カヌーの練習中、川の中にいた高齢女性を見つけて救助活動にあたった武庫川女子大(兵庫県西宮市)カヌー部に所属する3人の学生に、身近な善行をたたえる兵庫県の「のじぎく賞」が贈られた。14日、尼崎南署で村尾芳和署長から賞状を受け取った3人は「助けられてよかった」と当時の救助劇を振り返った。
賞を贈られたのは、4年の西分友貴子(にしぶんゆきこ)さん(22)=大阪市大正区=、3年の足立花笑(はなえ)さん(20)=西宮市=、2年の阿部寧華(やすか)さん(20)=同県尼崎市。
3人は2月21日、それぞれ1人乗りのカヌーに乗り、阪神地域を南北に流れる武庫川で練習していた。
不意に「わー、助けて」という声が響いた。武庫川河口に近い南武橋のたもとで、約1メートルの深さの水につかって震えている高齢の女性を阿部さんが発見。他の2人にすぐ声をかけた。
足立さんは川に入って女性に救命ベストを着せ、阿部さんのサポートを受けて川岸まで背負って歩いた。
西分さんはその間、河川敷で工事をしていた作業員に応援を要請。全員で力を合わせ、女性を尼崎市側の河川敷に引き揚げた。「大丈夫ですよ」と声をかけ続け、救急車を待った。
尼崎南署によると、救助されたのは尼崎市内の80代女性。自ら川の中に入ったとみられ、低体温症になっていたが、回復したという。当時の水温は9度で、「救助が遅れていれば危険な状態だった」(同署)。
武庫川女子大カヌー部は昨年の全日本学生カヌースプリント選手権大会で総合優勝し、7連覇を達成した強豪。賞状を受け取った西分さんは「一刻も早く通報しようと思って動きました」。足立さんは「的確に行動できてよかった」、阿部さんは「助かってほっとした」とそれぞれ語った。(崔埰寿)