沖縄県の玉城デニー知事は19日午前、首相官邸で安倍晋三首相と会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事の中止を改めて求めた。首相から明確な回答はなかったという。県は総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」が訴えを退けた結果を不服とし、国を近く提訴する方針。
会談は約20分間。玉城氏によると、2月の県民投票で辺野古埋め立て反対が7割に達したことや、16日に那覇市であった辺野古移設の反対集会に玉城氏が言及。「1カ月ぐらい、真摯(しんし)に話し合う場を設けてもらいたい」とし、工事の中止を求めた。首相は前知事時代にも話し合いの場を設けたことを挙げ、「(工事を)結果的に進めることになった」と述べ、中止に否定的な考えを示した。
玉城氏は25日にも予定される辺野古の新区域での埋め立ての中止も要請したが、政府は応じない方針だ。
沖縄県は辺野古への埋め立て承認を撤回したが、安倍内閣の一員である石井啓一国土交通相がその効力停止を認めたのは地位の乱用で違法だとして、昨年11月に「国地方係争処理委員会」に審査を申し出た。しかし、同委員会が今年2月に申し出を却下した。