ロシアのプーチン大統領は18日、同国によるウクライナ南部クリミア半島の併合から5年となるのに合わせて、同半島で演説した。欧米などから批判されている併合について、住民投票にもとづくものであり「真実と正義の力を示した」ものだと主張し、正当性を強調した。
ロシアは2014年2月、ウクライナで親ロシア政権が崩壊した直後に軍を派遣してクリミア半島を制圧。その中で実施された住民投票の結果を理由に、併合に踏み切った。
プーチン氏は、同半島の中心都市シンフェロポリで開かれた併合5周年の記念コンサート会場に参加して、演説。住民投票で併合に賛成した市民について「第2次世界大戦で勝利したソ連軍兵士を思い起こさせる」と評価。併合は「ロシア全土に信じがたいほどの愛国心の高まりを呼んだ」と成果を誇った。同半島の発展に今後も力を入れる姿勢を強調した。
米国や欧州連合(EU)などはロシアによる併合の既成事実化に批判を強めている。北大西洋条約機構(NATO)は18日、「併合を認めることはない」とロシアを非難する声明を発表し、同半島をウクライナに返還するよう求めた。
ロイター通信などによると、プーチン氏は同日、クリミア半島の火力発電所の開所式などにも出席し、ロシアが急ピッチで進めるインフラ整備の状況を視察した。(モスクワ=石橋亮介)