客が自分で肉を焼き上げる日本発のステーキチェーン「ペッパーランチ」が21日、米ニューヨーク初の店舗をマンハッタン中心部に開店した。運営する外食大手ペッパーフードサービスは、ステーキ店「いきなり!ステーキ」をマンハッタン内に11店舗まで急拡大させたものの苦戦し、うち9店の閉店に追い込まれていた。この一部を衣替えしてステーキの本場に再挑戦する。
「『いきなり!』では皆さんに心配をかけた。反省を踏まえて、じっくりと広げていきたい」
ペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長は開店あいさつでこう語った。「いきなり!」は厚切り肉を客の目の前で切り分け、量り売りで提供するスタイルで知られる。2017年にニューヨークに進出して店を一気に増やしたが、ステーキ店なのかファストフード店なのかの軸が定まらず「お客様を混乱させた」(一瀬社長)。食べて帰るまで時間がかかるのも、忙しいニューヨーカーに敬遠されたと分析している。
閉店させる「いきなり!」9店のうち2店を、価格帯が安くファストフードとしての性格がより強い「ペッパーランチ」に改装し、手軽さをアピールして集客をめざす。「いきなり!」の失速を教訓に、店の拡大は急がない方針だ。
ペッパーフードサービスは18年秋、日本の飲食チェーンとしては初めて米ナスダック市場に上場し、米国市場に浸透しようとしている。今夏には米ラスベガスにも新店舗を出す計画。「ペッパーランチ」は日本のほかインドネシアやシンガポールなど16カ国に計約480店を展開している。(ニューヨーク=江渕崇)