ミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)容疑者(51)がコカインを使ったとして麻薬取締法違反の疑いで逮捕された事件で、出演作品の公開取りやめや撮り直しなどが相次いでいることを受け、依存症者の家族や研究者らでつくる団体が、映画会社や放送局に対して自粛などの撤回などを求める要望書を提出した。
ピエール瀧容疑者MCの番組、後継は進行役立てず
「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」が25日付で要望書を送ったのは、瀧容疑者が出演していた大河ドラマ「いだてん」の撮り直しと過去作品の配信を取りやめたNHK、瀧容疑者が所属するテクノユニット「電気グルーヴ」のCD出荷やデジタル配信を取りやめた「ソニー・ミュージックエンタテインメント」、映画を代役で撮り直すことを決めた松竹のほか、TBS、セガゲームズの計5社。
要望書では、自粛を「厳しすぎる制裁」だと指摘。多額の賠償金を請求されて仕事の表舞台からも排除されると、「重大な犯罪というイメージが必要以上に増幅される」「薬物使用が発覚したら社会的に抹殺されるという恐怖感があおられ、相談や支援につながる勇気を阻害し、孤立を招き、問題を悪化させる」などとして、「制裁措置」の撤回を求めている。
ネットワークの発起人の一人で、ギャンブル依存症問題を考える会代表理事の田中紀子さんは取材に対し、「出演作品の自粛は、周りの人も一蓮托生(いちれんたくしょう)で被害にあい、本来の罪の重さに比べて、あまりに厳しすぎる。罪を裁くのは司法だけでいいはずだ」と話した。