2014年に鹿児島市の県立高校1年の田中拓海さん(当時15)が自殺した問題で、県いじめ再調査委員会は27日、「いじめを中心とする学校での事情が大きな影響を与えた」として、いじめを自殺に至る主な要因とする報告書をまとめ、三反園訓知事に提出した。
この問題をめぐっては、県教育委員会がいじめ防止法に基づき設置した第三者委員会が17年3月、「いじめを断定できない」と判断。だが、遺族は知事に再調査を要望し、昨年6月に同法などに基づき、知事部局を事務局とする再調査委が置かれた。再調査委は同級生ら計約140人にアンケートし、46人から個別の聞き取りも行った。
報告書では「納豆巻きがカバンに入れられた」「スリッパが隠された」といった行為をいじめと認定。そのうえで、自殺との関係についても検討した。中学時代と異なり、部活で親しい友人も少なく孤立感を深める中で、いじめが発生。田中さんは、クラスの中心的な存在だった生徒も加害者側に加わったと考えていた。そのため、いじめを「大きな不安と喪失感を与える重大な出来事」になったと位置づけた。
成績が下がったことも含め、大きなストレスを抱えたことは容易に想像できるとし、「学校に居場所がなくなり、所属感の減弱を加速させた」とした。さらに、夏季補習の3日間連続欠席を2回繰り返した田中さん宅に、副担任から電話連絡があったことも、追い詰める要因になったと指摘。自らが家族や学校の負担となるという気持ちも相まって、「いじめを中心とする学校での事情が自殺に大きな影響を与えたと認められる」とした。
報告書は、教師2年目の副担任…