国の天然記念物に指定されている奈良のシカ1頭が死に、胃の中からポリ袋とみられる異物3・2キロが見つかった。捨てられたごみを誤って食べたとみて、シカの保護活動に取り組む「奈良の鹿愛護会」が詳しい死因を調べている。
愛護会によると、シカは体長約79センチ、体重約30キロのメスで、推定17歳。奈良市で3月23日、「東大寺の近くで立てないシカがいる」と通行人から愛護会に連絡があり、職員が保護した。23日はえさや水をとっていたが、24日朝に死んだ。愛護会が27日、シカを解剖したところ、胃の中から重さ3・2キロの異物が見つかった。ポリ袋が絡まった塊とみられるという。
愛護会職員で、解剖を担当した獣医師の丸子理恵さん(50)は「衰弱したシカの胃にごみが入っていることはあるが、これだけの量のごみが出てくることはあまりない。このシカは高齢なので老衰の可能性もあるが、かなり痩せて毛のつやも悪かった。袋が胃をふさいでしまって、十分な栄養がとれなかったのではないか」と話す。
愛護会は専門機関にシカの内臓の病理検査を依頼しし、詳しい死因を調べている。(高橋杏璃)