京都府八幡市の小さな神社に、昨年秋から突然、時に100人を超える行列ができるようになった。名刀ゆかりの場所と紹介したツイッターがきっかけで、全国から「刀剣女子」が続々と訪れているのだ。
京阪電鉄八幡市駅から南へ約500メートルの相槌(あいつち)神社。石清水(いわしみず)八幡宮がある男山のふもとにある。社伝によると、平安時代の刀工・安綱(やすつな)が、境内の井戸「山ノ井」の水を使って、名刀として知られる「髭切(ひげきり)」と「膝丸(ひざまる)」を打ったとされる。
宮司の高月(たかつき)清子さん(42)は、先々代の宮司に請われて約10年前から社務を手伝ってきた。昨年2月に宮司になったが、本殿や社務所は老朽化が進み、傾きも目立っていた。
そこで、知人らに声をかけてボランティアのスタッフによる「復興プロジェクト」を立ち上げた。神社の由来を紹介するホームページをつくるなどしていると、6月ごろからぽつりぽつりと人が訪れ始めた。
8月、後にスタッフになる参拝者の女性が、ツイッターで「……名刀『髭切』『膝丸』をお造りになった場所なのだそうです」とつぶやいた。月2回(1、15日)の月次祭(つきなみさい)で御朱印がもらえることも紹介した。
すると、9月1日の月次祭に100人以上の参拝者が集まった。しかも、大半が女性。刀剣を人に見立てたオンラインゲーム「刀剣乱舞」などの影響で、日本刀のファンになった刀剣女子たちだった。ゲームに登場するキャラクターにゆかりのある場所として、相槌神社が取り上げられるようになり、刀剣女子たちの「聖地巡礼」の対象になっていたのだ。
今年の1月31日、献灯台を新しくするためにインターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングを始めると、5時間で目標額の74万円が集まった。井戸の改修費などを追加して、目標を260万円に増額したところ、最終的に171人から402万6千円の支援が寄せられた。
3月1日の月次祭では復興プロ…