動画投稿サイト「You(ユー)Tube(チューブ)」に自作の動画をアップし、子どものあこがれの存在にもなっているユーチューバー。さらに今、本人は姿を現さず、仮想のキャラクターの姿を借りて動画を投稿するバーチャルユーチューバー(Vチューバー)が注目されている。現実とは異なる映像表現が可能で、企業や自治体の情報発信にも一役買っている。
「あーしが好きな観光地は長瀞(ながとろ)」「十万石まんじゅうはもう手に取りましたでしょうか」。大きな目に長いまつげの3Dモデルの少女が、画面の中で身ぶりを交えて語る。
埼玉県民Vチューバーを名乗る「春日部つくし」。「バーチャル埼玉に住む17歳の女の子」として、埼玉の名所や名産品を語ったり、映像で紹介したりする動画を投稿している。
現実世界でも、生まれも育ちも生粋の埼玉県民。暮らしやすく、治安がよく、関東のどこへでも出かけやすい埼玉を「最強」と自負する。記者が電話取材すると、キャラクター同様のお嬢様口調で語ってくれた。
絵を描くことが好きで、2017年末ごろに仮想のキャラクターが繰り広げるVチューバーの世界に夢中になった。かつて民間企業が作った東北応援のキャラクターが、ネットを中心に広まった事例を参考に「自分も同じように埼玉を伝えられないか」と考えた。
3次元のコンピューターグラフィックスを表現するVR(仮想現実)用の機材をそろえて使い方を学び、キャラクターをデザインして18年2月に初めて動画を投稿。キャラの名には「クレヨンしんちゃん」の舞台などで他県の人にもなじみ深いだろうと、埼玉の地名「春日部」を付けた。
県産品を立体的に再現して大量に作り出すなど、仮想空間ならではの表現を魅力に思う。活動を通じて技術を高め、今は自前の仮想スタジオを使い他のVチューバー仲間とバラエティー番組も作るようになった。
チャンネル登録者は2万人超。視聴者の多くは10~20代の若者だ。最近は「埼玉県と言えばつくしちゃん」と反応する人も現れたという。
動画投稿を機に、子どもの頃に…