惜別 作家・元経済企画庁長官の堺屋太一さん 2014年に週刊朝日の連載担当になり、取材や打ち合わせで幾度となく時間をもらった。会えば、「最近なにか楽しいことありませんか」――。 年若い記者や編集者だけでなく、官僚や来客に同じ問いをしていると後に聞いた。柔らかな関西弁の端々に出てくる「おもろいか、おもろくないか」という物差しも、大阪出身の堺屋さんらしい。予測小説から歴史小説、文明評論まで自在に駆ける軽やかさ。旺盛な知的好奇心こそが堺屋ワールドの原動力だ。 仕事の話がひと息つくと、信長や秀吉、太平洋戦争など歴史の話になった。さかのぼれる幼少期の記憶は開戦を告げるラジオ放送だという。小学校で「一億玉砕したら、日本の負けではないでしょうか」と質問して、教師に平手打ちされた、と笑った。通産官僚出身でありながら、「官僚主義はダメ」と明快だったのも、そんな戦中体験が影を落としていたからだろう。 「官僚主義が行き過ぎて、官僚… |
「官僚主義の行き過ぎ、戦中と同じ」堺屋太一さんの苦言
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