ハワイにあるすばる望遠鏡計画の責任者を務め、ブラックホールの撮影に使われたチリのアルマ望遠鏡の建設にも貢献した海部宣男さん(かいふ・のりお=元国立天文台長)が13日、膵臓(すいぞう)がんで死去した。75歳だった。葬儀は近親者で行った。
海部さんは新潟県出身で、宇宙に浮かぶガスやちりなどの「星間物質」の研究を続けてきた。1982年に完成した野辺山宇宙電波観測所(長野県)の大型電波望遠鏡の建設に関わった。91年からは、ハワイに建設された光学赤外線望遠鏡「すばる」の計画に参加し、94年から責任者を務めた。すばる望遠鏡を完成した後の2000年、国立天文台長となった。
その後、12~15年に国際天文学連合会長を務めた。13年に日米欧が協力してチリに完成した電波望遠鏡「アルマ」計画では、日本がアルマ計画に欧米と対等な立場で参加できるよう尽力し、計画に関する最高意思決定機関であるアルマ評議会の委員も務めた。アルマは、国際プロジェクトでブラックホールを撮影するのにも重要な役割を果たした。
1998年に日本学士院賞を受賞。「宇宙マンガシリーズ」「宇宙の謎はどこまで解けたか」など一般向けの宇宙関連の著作も多数ある。いとこは海部俊樹元首相で、長男は、航海実験で日本人のルーツを探っている海部陽介国立科学博物館研究グループ長。